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最高裁判所第一小法廷 昭和23年(オ)58号 判決 1948年11月25日

主文

本件上告を棄却する

上告費用は上告人の負担とする

理由

上告代理人弁護士木原徳太郎同中本光夫上告理由第二点について

一件記録によれば、所論証人加藤策士の訊問申請は、原審が口頭弁論を終結した後に弁論再開の申請と同時に為されたものである。一旦終結した弁論を再開すると否とは当該裁判所の自由裁量により決し得るところであつて、当事者は権利として裁判所に対して弁論の再開を請求し得るものではない。所謂弁論再開の申請なるものは唯裁判所の職権発動を促すものたるに過ぎないのであるから裁判所は再開を適当と認めた場合には再開し、又再開の要なしと認めた場合にはかかる申請に対して特に答えることなく、そのまま判決の言渡を為し得る訳である。このことは裁判所のために決して専横を許したものではなく、裁判所が事件につき裁判を為すに熟したと認めて一旦弁論を終結すれば、爾後訴訟資料提出の機会を失う危険あることを当事者に警告してその勤勉なる訴訟遂行を期待し、以て訴訟遅延を防止せんとする立法者の意図に外ならない。この間の裁量は、一に当該裁判所の自由と責任と良心に委ねられている。されば、本件において原審が上告人の弁論再開の申請並びにこれと同時に為された所論証拠申請を顧みることなく、原判決をなしたとしても原判決に所論のような違法があるとはいい得ないのである。論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よつて民事訴訟法第四〇一条、第九五条及び第八九条により主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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